RITCHIE'S MAIL MAGAZINE
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/ / \_∧vvv vvvv ☆-スイス建国物語-☆
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☆───┐ ★「フィーアバルトの風」★
☆───┼─────────────────────┐ Vol. 00
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◆◆ もくじ ◆◆
◎主な登場人物
◎本文
◎コラム
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==登場人物==
ヴィルヘルム・テル
ビュルグレンの若者。弓の名手。
クリスティーナ・アッティングハウゼン
ビュルグレン村長の美しい娘。
ヘルマン・ゲスラー
帝国の悪代官。スイスの人々を支配しようとたくらむ。
アンドレアス・フュースト
ヴィルの親友。力自慢の牧人。
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第一章より抜粋
「牧草地が増えればもっと牛や山羊を飼えるだろ。」
ヴィルはそう言って、クリスティーナのさしだしたパンをちぎって食べた。
「それは大変じゃない。」
「そうでもないさ。その石でここに家を建てる予定なんだ。一石二鳥ってこの事だ
よ。」
「すごい…すてきね。わんぱくヴィルもとうとう家まで建てちゃうんだ。私にも何か
手伝わせてよ。」
「ありがと。でも、俺たちだけで大丈夫だ。」
「みずくさい事言わないで。やっぱり、まだ私のこと子ども扱いしてるんだから。」
「そんな事ないよ。」
「じゃあ、何でも言って。ちゃんとやるから。」
しようがないなというふうに、ヴィルは微笑んだ。そして彼女の口真似をして言っ
た。
「じゃあ、井戸でも掘ってもらおうかな。」
「えっ…井戸?」
谷を流れる涼しい風がふたりを包み込むように流れた。ふたりの笑い声を運び、彼
女の髪を揺らす。頬を撫でてゆくその風が気持ち良かった。クリスティーナはヴィル
と過ごす何気ないこんなひと時がとても好きだった。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓−中略−↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
「おお……これはメリュジーヌの誘惑なのか…。」
ゲスラーは感嘆の声をあげた。そばで見ると想像以上の美形ではないか。アルプス
の山中に埋もれさせておくのはあまりにも惜しい。
「美しい…このような山奥には珍しい美貌ではないか。ドイツやボヘミア…いや、ヨ
ーロッパのどこにもおまえほどの娘はおらんぞ。」
彼は是が非でも彼女を我が物にしたくなってきた。
「光栄にございます。」
応える彼女の声が少し震えている。彼はますます嬉しくなってきた。
「どうだ…。私の下で働かないか?給金ははずむぞ。地元の娘がいると何かと快適に
暮らせるのだ。すぐにでも迎えの者を遣わそう。」
侍女になれというのだ。当然、彼の意図するところは別にある。この娘を手に入れ
るためなら何でもしてやろうではないか。私は神聖ローマ皇帝の代官なのだ。不可能
などありはしない。
だが、こちらも当然の事ながら、侍女になるなどクリスティーナにはとうてい出来
ない相談だった。第一、帝国の代官の下で働くなど考えられない事だ。前例が無いわ
けではなかったが、帝国は依然として敵国なのだ。
「…おそれながら」
彼女は震える声で言った。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓−中略−↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
その頃、ヴィルの持ってきたクリスティーナのランチを頬張るアンディ――アンド
レアス・フューストは積み上げた石の上に腰をおろし、あらかた片づいたヴァルディ
のガレ場を満足そうに眺めていた。いや、そこはもうガレ場ではない。立派な牧草地
になろうとしていた。彼の連れてきた牛たちが生えてくる尻から牧草を食べてしまう
ので、まだまだ牧草地としてはやせて見えるが、来年の春には緑でいっぱいになるだ
ろう。
ヴィルは、残っているガレ場の石を運びながら考えた。確かに弓には自信がある。
しかし、物事には常に万が一という事がある。
それにシュヴィーツの名家、シュタウファッハーの長男ハンスの弓人としての名声
は高く、競技会では彼とヴィルの一騎打ちになるだろうとのもっぱらの噂だった。
「もうじき、村長のとこに子牛が生まれるんだけど、それを買い取ろうと思ってん
だ。」
アンディはひとかかえもありそうな石を抱えたヴィルに話しかけた。
「…シュタウファッハーのとこのをか?」
「違うよ、ヴィル。なに言ってんだ?村長んとこの子牛だよ。それで俺もやっと牛を
持てるし、おまえにチーズを頼む事も増えそうだ。」
「そいつはありがたいや。よろしくな、お得意さん。」
ヴィルは必要以上に陽気な声で言った。そして運んだ大きな石をアンディのそばに
降ろした。
「この石で立派な小屋も建てられるからな。」
大きく息をつきながら額の汗をぬぐった。
「俺たちも来年からはゲマインデの一員だ。立派にやってかなきゃな。」
ゲマインデは自治組織の事である。村で必要とする共同作業の分配や、その決まり
を合議で決定し、遂行する。成人男性は皆この組織に属していた。子供たちは、だい
たい八歳頃から働き始め、成人すると自動的にこのゲマインデに入る事になる。
ヴィルは力仕事でも何でもこなすが、きょうはそれ以上にがんばっているようだ。
普段から明るい性格ではあるが、それだけではない事が幼なじみのアンディには感じ
られた。時々うわのそらのヴィルを見て、何か良い事でもあったのかな、とアンディ
は微笑を浮かべた。お互い、村人から白い目で見られたビュルグレンの名物いたずら
小僧だったのに、今では立派な若者になっているのがおかしかった。
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==コラム==
■中世ヨーロッパの農家の食事■
皆さん、こんにちは。Ritchieです。
中世ヨーロッパの農家の食事は、実際は日に2度でした。
朝9時ごろに遅い朝食。
夕方4時ごろに夕食を取ったそうです。
太陽が昇れば起きだし、日が沈めばと眠るという生活パターンで
1日中野良仕事に追われる暮らしは決して楽ではありませんでした。
物語の中で登場人物たちはランチを食べたりしていますが
そういう事は滅多になかったと思われます。
主人公のヴィルの場合は朝早くから山に出かけ、夕方遅くまで働いていたので
幼なじみのクリスティーナが間食を運んでいたのです。
食べる物も本当に質素で、多く肉を食べる事はあまりなかったようです。
羊が主な家畜で、豚もよく飼われていました。
ヨーロッパでは、食べ物は自分達で作るものという考えがあり
狩で獲ってきた動物の肉などは
野蛮な民の食べ物と考えられていたようです。
ヨーロッパの人々が捕鯨に反対するところは、鯨が知的な動物というだけでなく
そういう理由もあるからなのだそうです。
Ritchie
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┏┓ 「フィーアバルトの風」 スイス建国物語 ┏┓
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┛ Vol. 00 END ┗
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